見学会と相談会を行います

急ですが、古民家再生で新築された住宅を会場として、見学会と、新築の相談会を開催することになりました。
一度目は、11月9日(土)上越新幹線安中榛名駅」駅前にJR東日本が開発した「ビューヴェルジェあんなかはるな」という新しい街がありますが、そこで、私が設計監理を担当した2軒の古民家再生住宅のオーナーさんのご好意で、その住宅を見ていただきながら、古民家再生での新築のミニ講演会、ならびに相談会を行います。午前に1軒、午後に1軒の予定で、2階に分けて行います。今回はJR東日本株式会社からも、バックアップを頂いています。このエリアにも、20カ所ほどの、リーズナブルな販売宅地が残っています。
奮ってご参加ください。

二度目は、11月16日(土)UR の 龍ヶ崎ニュータウン内の古民家再生エリアです。10年ほど前にUR主催の「古民家-木のぬくもり」という企画で、古民家再生エリアのコーディネータを担当しました。予定の12区画の内、5区画は、既に古民家再生住宅が建っており、生活しておられます。その一軒が、今回の会場となります。既にお住まいになっている古民家再生住宅を内見できるまたと無い機会です。 最寄りはJR常磐線佐貫駅(日暮里から47分くらい)からバスで15分ほどですが、車なら都心から1時間ちょっとで行けるところです。
奮ってご参加ください。

いずれも事前の申し込みが必要です。詳しい内容と、申し込み方法は、
www.mt-aca.com/event/
で検索してください。

私の設計の仕事の内容につきましては、
http://www.academeia-inc.com/
をご覧ください。このサイトから、参加申し込みも出来ます。

PJT 二棟共同で計画した二軒家(5)

いよいよ「建て方」です。
基礎が出来た後、加工の終わった構造材(柱や梁)を、クレーンなどを用いて、一気に立ち上げます。

かつては、この作業は、すべて人力で行われていました。
2軒分の建物とは言え、骨組みの状態でも、建物のその後の仕上がりが少し想像できて、壮観です。
設計者としては、各段階で、設計時に考えたことが、どれだけ実現できているか、またどれだけ効果のあるものだったのか、ということをいつも気にしてチェックしています。



前回の、構造検討模型と比べてみてください。

PJT 二棟共同で計画した二軒家(4)

申請が下り、地鎮祭も終わっていよいよ基礎工事です。
近年の住宅の基礎は、鋼製型枠が主流となりました。設計事務所の設計による住宅は、なかなか規格の型枠に乗らないため、一部は、型枠大工さんの手を借りるところも出て来ますが、良くも悪くも鋼製型枠、脱型後の基礎肌の仕上がりは、きれいなものです。


これらの写真は、基礎立上がりのコンクリートを打った直後の状態ですから、まだ建物がどんなものになるのか想像もつきませんね。
実は、この計画は、3年ほど前から始まったもので、当初は、別の敷地で計画されていました。
したがってプランは少し現在のものと異なりますが、とのときの模型の写真をお見せしましょう。これは、構造模型と言われるもので、柱と梁、その他、空間のイメージ理解を助けるために、階段等を入れたものです。この模型で、イメージした空間が、かなり正しく理解できるようになります。


基礎を施工中には、大工さんが、柱梁などの構造体の加工(端部の加工)を行っています。最近では、コンピュータで興した加工図面を元に、機械が加工してくれるシステムがあります。プレカット加工と言って、新たな業態として発展中です。それでも特に難しい角度、勾配などの加工は。まだ手でやっているようです。
基礎工事が完了すると、コンクリートの強度が出るのを待って、いよいよ建て方です。

PJT 二棟共同で計画した二軒家(3)

浄化槽の排水先は、敷地からはるか離れた別の疎水、ということに決まりました。
東側の奥羽山脈を水源とする、多数の小河川が、網の目のように絡むように流れながら合流を繰り返して、雄物川に流れ込みます。
農業用水は、これらの小河川の水を、地盤面の標高と微妙な勾配を徹底的に活用して、すべての水田に有効に水を必要なだけ供給する、という驚異的なシステムです。
今回の敷地の道路寄りの疎水と、敷地奥の疎水は、すぐ上流で分岐したもので、敷地の数百メートル先で、河川にそれぞれが流入しています。かつては、両方とも、田への供給水路だったのですが、敷地奥の疎水沿いに建物が建ち並ぶようになり、生活排水路としての機能に、特化させるように変わったようです。
申請対象の敷地から、その排水先となる疎水までは約40メートル。排水管は疎水先までの土地を借りて埋設することになります。
幸い、疎水に接するまでの土地はクライアントの先代の方の所有で、借りることができました。
この草に覆われた細い水路が、その放流先です。

これは、今年7月の写真です。
このころ、確認申請作業が進んでいました。

PJT 二棟共同で計画した二軒家(2)

このあたりは、4月に入ってもまだそこここに雪が残るところです。
今年の4月10日の現場も、まだ雪景色でした。

申請対象の敷地は、この道路沿いの水路から奥に15メートルほどまでです。建物を建てるのに必要なだけ、クライアントのお父様から購入して頂きました。
必要な敷地面積の確定、ということも、決め手を見つける作業は、なかなか難しいものがあります。
都会だったら、建蔽率容積率の限度だけで、すべてが自動的に決まる、という例が多いのですが、庭先の広さ、建物の維持管理のしやすさ、将来に向けての資産としての考え方など、様々な要素を話し合って、こちらが提案をしたものを承認して頂く形となって確定されました。
確定した敷地内外周辺には、電柱が2本立っています。
調べてみると、東北電力の電柱と、NTTの電柱です。
東北電力の電柱は、本体は敷地外ですが、電線が敷地内の上空を通過しています。
NTTの電柱は、敷地内に立っていてかつ、計画建物の建つ範囲に、控え柱がかかっています。

写真左がNTT柱、右後方が東北電力柱。
NTTに相談して、この一本を、今回の敷地の両端に一本ずつ、計2本に分けて引き直してもらうよう申請を行いました。
私たちが、計画図を作成し、移設の際は、クライアントの方に、現地立会いをお願いして、最終的に無事建物が建つエリアを確保できました。
もうひとつ、対応が必要なのが、敷地と道路の間にある、この二本の水路です。

ここが、「農業用水」なのか、ここに生活排水の浄化槽からの排水を放流して良いのか悪いのか、また道路から敷地に入るのに、ここを渡らなければならないので、その場合はどうすれば良いのか、などなど、まだ解決しなければならない問題が残ります。
調査すると、この二本とも「農業用水路」であり、この水路がある道路と平行した部分は、市道の一部と、並行した約30センチ幅くらいの市有地の「畑」であることが分かり、工事をするにも、建物を建てて住むにも、「使用許可」を取ることが必要であり、またそうすれば、奥の敷地を宅地として使うことができることが分かりました。
その後、その手続きは完了しましたが、市役所の管財課、道路課、都市計画課、建設課、○○疎水事務所、地元の農業委員会の区長さん、などの元に何度も通い、ようやく申請の実体が掴めた、という苦労を経験することになりました。
これで、問題は、終わりではありませんでした。
浄化槽排水は、結局この水路には放流してはならないという判断が出て、道路から見て敷地のはるか後方約40Mにやはり平行して流れている別の疎水に放流するように指導があり、その形で申請を出し、ようやく、土地をめぐる計画全体が見えてきました。
もうひとつ、私たちが、事務所として初めて経験したのが、この敷地は、結局道路には接していないが、「都市計画区域外」であったために、建物を建築することができる、つまり確認申請が審査の対象となるということでした。
道路とは接していないために、逆に「道路斜線」はかかってこない、不思議な経験でした。
その後、確認申請を提出、審査の結果、建築確認が降りて、着工が可能となりますが、次に大変なのが、建築コストです。

PJT 二棟共同で計画した二軒家(1)

今回から、「PJT 二棟共同で計画した二軒家」の現場施工記録です。
このプロジェクトは、秋田県の某市で計画が進んでいます。
私がかつてその関連の劇場を設計を担当させて頂いたことのある、ある劇団に所属する方々の住宅新築計画です。

実は、この計画は2009年暮に始まりましたが、土地が確定せず、昨年に入ってようやく新たな土地が決まり、計画が進み、確認申請も降りて、着工できました。現在は、先週ようやく建前が終わり、関係者でささやかな上棟の祝いをしたばかりです。

敷地は、内陸の茫々たる水田地帯に家々が点在する、農業地帯の一角です。
敷地は当初、農地で、農転申請が最初の作業でした。
農転申請の時点で既に計画図を提出しなければならないので、プランの打合せは、早々と始めました。

「二家族」の連棟、が今回の計画の基本ですが、その理由は、それによる多くのメリットがあったからです。
多くある理由のなかで最も大きいのが、コストです。
設計にしても工事監理にしても、施工にしても、本体以外、すべては、共同によるメリットとスケールにメリットが生まれます。

協力してくださった工務店さんの努力が最も大きいと思いますが、とにかく、当初、私が作成した資金計画に近い金額でスタートできたことは大変嬉しいことでした。

敷地の写真を掲載します。

市道と敷地(以前は畑)の間には、農業用水が2本走っています。

最終的には、ここを渡る許可や、ガードレールの撤去移設なども申請が必要になります。

この土地は元、畑や水田ですが、近隣を流れる川や、大地形を見ると、おそらく、扇状地の氾濫原だったことが想像され、少し掘れば、良質の砂利層が出て来るものと想像されました。

実際ボーリング調査をしてみると、1〜2メートル以内に砂利層が出て来て、比較的軽微な地盤改良を行うだけで、建物の計画ができることがわかりました。